西洋の哲学の基本概念を身につけ、哲学がどのような問題に取り組むのかを理解する。また啓蒙思想に注目して、哲学の歴史の流れを理解する。さらに日常生活のなかに隠された哲学的な問題を見出し、自ら考察できるようになる。

The goal of this course is to learn the basic concepts of Western philosophy and understand what kind of problems philosophy deals with. And we will focus on the Enlightenment thought and understand the flow of the history of philosophy. Through this course, students will be able to find philosophical problems hidden in everyday life and examine them on their own.

ヴォルテールの著作『寛容論』を熟読し、寛容の意義や可能性について意見を交換する。本書でヴォルテールは、プロテスタントのジャン・カラスが巻き込まれた冤罪事件に闘いを挑んでいる。この冤罪事件は、カラスが実子殺しの容疑で逮捕され、無実を訴え続けたにもかかわらず、処刑されたというものである。ヴォルテールは、プロテスタントに対するカトリックの差別や偏見が絡んだこの事件に接して、理性を信頼する立場から世論を喚起するとともに、カラスの名誉回復のために懸命に努力した。そこで本書を読み解くことで、異なる考えをもち、異なる宗教を信じる他者の立場を容認する態度、つまり「寛容」について考えてみたい。というのは、偏見や迷信にもとづいて、異なる他者を差別し排除することが、さまざまな場面で現在も続いているからである。授業の進め方について、毎回２名の報告者にテキストの概要を説明してもらう。受講生の学びにつながる授業運営を心がけたい。

Read Voltaire’s work “Treatise on Tolerance” carefully and exchange opinions on the significance and possibility of tolerance. In this work, Voltaire challenges the wrongful conviction case involving Jean Calas, a Protestant. This wrongful conviction case is about Calas being arrested on suspicion of killing his own son and being executed despite pleading his innocence. Voltaire, faced with this case involving discrimination and prejudice against Protestants by Catholics, appealed to public opinion from a position of trusting reason and worked hard to restore Calas’ honor. In reading this work, we would like to consider "tolerance," the attitude of tolerating the position of others who think differently and believe in different religions. This is because discrimination and exclusion of others based on prejudice and superstition continues to this day in many different situations. As for the way of conducting the class, we would like to have two reporters explain the summary of the text every time. We would like to conduct the class in a way that leads to the students’ learning.

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オリエンテーション：授業の進め方。テキストの説明。

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報告と討議１（第一章　ジャン・カラス殺害のあらまし）

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報告と討議２（第二章　ジャン・カラス処刑の結果/第三章　十六世紀における宗教改革の思想）

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報告と討議３（第四章　寛容は危険なものか、また、寛容を重んずる民族は存在するか/第五章　寛容はいかなるばあいに許されるか/第六章　不寛容ははたして自然の法であり、人間の権利であるのか）

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報告と討議４（第七章　不寛容は古代ギリシアの時代にもあったのか/第八章　ローマ人は寛容だったか）

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報告と討議５（第九章　殉教者たち）

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報告と討議６（第十章　偽の伝説や迫害の物語の危険性　第十一章　不寛容の弊害）

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報告と討議７（第十二章　ユダヤ教では不寛容が神の掟だったのか、また、それはつねに実行されていたか）

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報告と討議８（第十三章　ユダヤ人の極端なまでの寛容さ）

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報告と討議９（第十四章　不寛容がイエス・キリストの教えだったのか/第十五章　不寛容をいさめる発言集/第十六章　死にかけている男と元気な男の対話）

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報告と討議１０（第十七章　聖堂参事会員からイエズス会士ル・テリエへの手紙、一七一四年五月六日付/第十八章　不寛容が人間の権利とされる希少なケース/第十九章　中国でのちょっとした言い争いの話）

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報告と討議１１（第二十章　民衆には迷信を信じさせておくのが有益か/第二十一章　徳は知にまさるべし/第二十二章　神にたいしても寛容でありたい）

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報告と討議１２（第二十三章　神への祈り/第二十四章　追記/第二十五章　続きと結語）

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報告と討議１３（新しく加えられた章　カラス一家を無罪とした最終判決について）、まとめの議論と振り返り

板書 /Writing on the Board
スライド（パワーポイント等）の使用 /Slides (PowerPoint, etc.)
上記以外の視聴覚教材の使用 /Audiovisual Materials Other than Those Listed Above
個人発表 /Individual Presentations
グループ発表 /Group Presentations
ディスカッション・ディベート /Discussion/Debate
実技・実習・実験 /Practicum/Experiments/Practical Training
学内の教室外施設の利用 /Use of On-Campus Facilities Outside the Classroom
校外実習・フィールドワーク /Field Work
上記いずれも用いない予定 /None of the above

『寛容論』の指定箇所（文庫本で２０ページ程度）を読んでくること。