日本語 English
| 開講年度/ Academic YearAcademic Year |
20252025 |
| 科目設置学部/ CollegeCollege |
理学部/College of ScienceCollege of Science |
| 科目コード等/ Course CodeCourse Code |
CB121/CB121CB121 |
| テーマ・サブタイトル等/ Theme・SubtitleTheme・Subtitle |
量子カオスとSYK模型 |
| 授業形態/ Class FormatClass Format |
対面（全回対面）/Face to face (all classes are face-to-face)Face to face (all classes are face-to-face) |
| 授業形態（補足事項）/ Class Format (Supplementary Items)Class Format (Supplementary Items) |
対面 |
| 授業形式/ Class StyleCampus |
講義/LectureLecture |
| 校地/ CampusCampus |
池袋/IkebukuroIkebukuro |
| 学期/ SemesterSemester |
秋学期他/Fall OthersFall Others |
| 曜日時限・教室/ DayPeriod・RoomDayPeriod・Room |
ログインして教室を表示する（Log in to view the classrooms.） |
| 単位/ CreditsCredits |
22 |
| 科目ナンバリング/ Course NumberCourse Number |
PHY3210 |
| 使用言語/ LanguageLanguage |
日本語/JapaneseJapanese |
| 履修登録方法/ Class Registration MethodClass Registration Method |
科目コード登録/Course Code RegistrationCourse Code Registration |
| 配当年次/ Assigned YearAssigned Year |
配当年次は開講学部のR Guideに掲載している科目表で確認してください。配当年次は開講学部のR Guideに掲載している科目表で確認してください。 |
| 先修規定/ Prerequisite RegulationsPrerequisite Regulations |
|
| 他学部履修可否/ Acceptance of Other CollegesAcceptance of Other Colleges |
履修登録システムの『他学部・他研究科履修不許可科目一覧』で確認してください。 |
| 履修中止可否/ Course CancellationCourse Cancellation |
×（履修中止不可/ Not eligible for cancellation） |
| オンライン授業60単位制限対象科目/ Online Classes Subject to 60-Credit Upper LimitOnline Classes Subject to 60-Credit Upper Limit |
|
| 学位授与方針との関連/ Relationship with Degree PolicyRelationship with Degree Policy |
各授業科目は、学部・研究科の定める学位授与方針（DP）や教育課程編成の方針（CP）に基づき、カリキュラム上に配置されています。詳細はカリキュラム・マップで確認することができます。 |
| 備考/ NotesNotes |
集中講義：日程はR Guide「集中講義日程」を確認すること LA206統計物理学、RA206統計物理学と合同授業 |
Students will learn the theoretical basics of quantum chaos and understand the various quantities characterizing chaotic behavior of quantum systems. Students will also understand the basics of the Sachdev-Ye-Kitaev model and its applications in various fields of physics.
Using blackboard and projector, the fundamentals of quantum chaos and the Sachdev-Ye-Kitaev (SYK) model as a prototypical model realizing quantum chaotic behavior will be explained.
The course will begin with an overview of the basics of quantum chaos, contrasting it with classical chaos. Students will then explore key concepts and methods for characterizing chaotic behavior in quantum systems.
Subsequently, the Sachdev-Ye-Kitaev (SYK) model will be introduced as a tool to examine the relationship between quantum chaos, gauge/gravity correspondence, and quantum information theory. The course will also cover generalizations of the SYK model, numerical approaches, and recent advancements in research utilizing these models.
Note: The lecture schedule and duration of each topic may be adjusted depending on students' understanding and interests.
| 1 | 導入：量子カオスとは何か、SYK模型の位置づけ 量子カオスについて概観する。また、具体的な量子系として、SYK模型がどのように導入され、どのような物理的文脈で調べられてきたかについて整理するとともに、講義全体の流れを説明する。 |
| 2 | 古典カオスの基礎、量子カオスの基本概念(1) 古典カオス理論の基礎を以降の内容の理解に必要な範囲で理解するとともに、量子系を考えるときにどのような違いが生じるかを整理する。 |
| 3 | 量子カオスの基本概念(2) エネルギー準位間隔分布、ランダム行列理論との関係などを整理する。 |
| 4 | 量子系におけるエルゴ―ド性とスクランブリング 固有状態熱化仮説(ETH), 演算子の成長(operator growth), 非時間順序相関(OTOC), カオスの上限などの概念について理解する。 |
| 5 | SYK模型の定義づけ マヨラナフェルミオンの性質を確認し、量子力学系としてのSYK模型を定義する。この模型のもとになったSachdev-Ye模型など、関連する模型に関する研究の流れも理解する。 |
| 6 | SYK模型の基本的性質 フェルミオン数が大きいとき、物理量のランダム結合定数に関する平均が計算できることを理解する。関連して、模型のもつ対称性や、ランダム行列との対応を理解する。 |
| 7 | SYK模型とゲージ重力対応 SYK模型が、低温において、Jackiw-Teitelboim (JT)重力とゲージ重力対応をもつ量子系に求められる性質を満たしていることを理解する。この対応に基づき行われてきた研究を概観する。 |
| 8 | SYK模型の一般化 SYK模型において相互作用の次数を変更した場合や、超対称性を導入した場合について、基本的な性質を理解する。 |
| 9 | SYK模型と他の量子カオス模型 量子カオス系として研究されているいくつかの模型について、SYK模型と対比させて基本的な性質を理解する。 |
| 10 | 量子カオスと量子情報理論 量子カオス系における情報伝播やスクランブリング、固有状態のエンタングルメントエントロピー等について近年の研究に触れる。 |
| 11 | 量子カオス系の実験的実現可能性 量子カオス系のダイナミクスを、人工量子系で実現する、量子シミュレーションについて解説する。 |
| 12 | SYK模型の数値シミュレーション マヨラナフェルミオンの個数が30個程度までの場合について、厳密対角化による数値シミュレーションを実施する。模型を変形した場合を含め、カオスを特徴付ける量を数値的に求める方法を理解する。 |
| 13 | SYK模型の応用 SYK模型が物性理論、統計物理学、素粒子論などの分野でどのように利用されているかを概観する。 |
| 14 | 総括とディスカッション 一連の講義で解説した内容をまとめ、今後の展望を含めた議論を行うことで理解を深める。 |
板書 /Writing on the Board
スライド（パワーポイント等）の使用 /Slides (PowerPoint, etc.)
上記以外の視聴覚教材の使用 /Audiovisual Materials Other than Those Listed Above
個人発表 /Individual Presentations
グループ発表 /Group Presentations
ディスカッション・ディベート /Discussion/Debate
実技・実習・実験 /Practicum/Experiments/Practical Training
学内の教室外施設の利用 /Use of On-Campus Facilities Outside the Classroom
校外実習・フィールドワーク /Field Work
上記いずれも用いない予定 /None of the above
第二量子化を含む量子力学、統計物理学など学部で習う物理学の基礎的な事項、その前提となる線型代数等の物理数学の事項を復習しておくこと。
| 種類 (Kind) | 割合 (%) | 基準 (Criteria) |
|---|---|---|
| 平常点 (In-class Points) | 100 |
講義内で行う口頭試問(30%) 講義内で出題するレポート(30%) 最終レポート(Final Report)(40%) |
| 備考 (Notes) | ||
| その他 (Others) | |||||
|---|---|---|---|---|---|
| プリント配付等によりテキストを使用しない。 |
| No | 著者名 (Author/Editor) | 書籍名 (Title) | 出版社 (Publisher) | 出版年 (Date) | ISBN/ISSN |
|---|---|---|---|---|---|
| 1 | 木村太郎 | 『ランダム行列の数理』 | 森北出版 | 2021 | 9784627063013 |
| 2 | 西垣真祐 | 『ランダム行列とゲージ理論【電子版】 〈普遍性〉を通して捉える量子物理』 | サイエンス社 | 2024 |
SYK模型の数値シミュレーションについては、PCの持参を要望する。必要な準備については、前の授業日までに指示する（有償のソフトウェアのインストールは必要としない）。
https://cond.scphys.kyoto-u.ac.jp/~tezuka/
量子カオスの理論の基礎を習得し、量子系のカオス的ふるまいを特徴づける種々の量について理解する。また、Sachdev-Ye-Kitaev模型の基礎的性質を理解し、物理学の諸分野への応用の状況を概観する。
Students will learn the theoretical basics of quantum chaos and understand the various quantities characterizing chaotic behavior of quantum systems. Students will also understand the basics of the Sachdev-Ye-Kitaev model and its applications in various fields of physics.
黒板およびプロジェクタを用いて、量子カオスの基礎および、量子カオス性を示す典型的な模型としてのSachdev-Ye-Kitaev(SYK)模型について解説する。古典カオスとの対比により、量子カオスの基礎概念を概観し、量子系でカオス的なふるまいを特徴付ける基本的な考え方を学ぶ。その後、SYK模型を通して、量子カオスとゲージ重力対応の関連や、量子情報理論的な量子カオスの捉え方について学ぶ。また、SYK模型の一般化や、これらの模型に対する数値計算の方法、これらを活用した最新の研究についても概観する。なお、回数と各内容の対応は固定したものではなく、講義を順次進める中で、受講者の理解の状況や関心に応じて、各項目にかける時間や項目の順序を調整する場合がある。
Using blackboard and projector, the fundamentals of quantum chaos and the Sachdev-Ye-Kitaev (SYK) model as a prototypical model realizing quantum chaotic behavior will be explained.
The course will begin with an overview of the basics of quantum chaos, contrasting it with classical chaos. Students will then explore key concepts and methods for characterizing chaotic behavior in quantum systems.
Subsequently, the Sachdev-Ye-Kitaev (SYK) model will be introduced as a tool to examine the relationship between quantum chaos, gauge/gravity correspondence, and quantum information theory. The course will also cover generalizations of the SYK model, numerical approaches, and recent advancements in research utilizing these models.
Note: The lecture schedule and duration of each topic may be adjusted depending on students' understanding and interests.
| 1 | 導入：量子カオスとは何か、SYK模型の位置づけ 量子カオスについて概観する。また、具体的な量子系として、SYK模型がどのように導入され、どのような物理的文脈で調べられてきたかについて整理するとともに、講義全体の流れを説明する。 |
| 2 | 古典カオスの基礎、量子カオスの基本概念(1) 古典カオス理論の基礎を以降の内容の理解に必要な範囲で理解するとともに、量子系を考えるときにどのような違いが生じるかを整理する。 |
| 3 | 量子カオスの基本概念(2) エネルギー準位間隔分布、ランダム行列理論との関係などを整理する。 |
| 4 | 量子系におけるエルゴ―ド性とスクランブリング 固有状態熱化仮説(ETH), 演算子の成長(operator growth), 非時間順序相関(OTOC), カオスの上限などの概念について理解する。 |
| 5 | SYK模型の定義づけ マヨラナフェルミオンの性質を確認し、量子力学系としてのSYK模型を定義する。この模型のもとになったSachdev-Ye模型など、関連する模型に関する研究の流れも理解する。 |
| 6 | SYK模型の基本的性質 フェルミオン数が大きいとき、物理量のランダム結合定数に関する平均が計算できることを理解する。関連して、模型のもつ対称性や、ランダム行列との対応を理解する。 |
| 7 | SYK模型とゲージ重力対応 SYK模型が、低温において、Jackiw-Teitelboim (JT)重力とゲージ重力対応をもつ量子系に求められる性質を満たしていることを理解する。この対応に基づき行われてきた研究を概観する。 |
| 8 | SYK模型の一般化 SYK模型において相互作用の次数を変更した場合や、超対称性を導入した場合について、基本的な性質を理解する。 |
| 9 | SYK模型と他の量子カオス模型 量子カオス系として研究されているいくつかの模型について、SYK模型と対比させて基本的な性質を理解する。 |
| 10 | 量子カオスと量子情報理論 量子カオス系における情報伝播やスクランブリング、固有状態のエンタングルメントエントロピー等について近年の研究に触れる。 |
| 11 | 量子カオス系の実験的実現可能性 量子カオス系のダイナミクスを、人工量子系で実現する、量子シミュレーションについて解説する。 |
| 12 | SYK模型の数値シミュレーション マヨラナフェルミオンの個数が30個程度までの場合について、厳密対角化による数値シミュレーションを実施する。模型を変形した場合を含め、カオスを特徴付ける量を数値的に求める方法を理解する。 |
| 13 | SYK模型の応用 SYK模型が物性理論、統計物理学、素粒子論などの分野でどのように利用されているかを概観する。 |
| 14 | 総括とディスカッション 一連の講義で解説した内容をまとめ、今後の展望を含めた議論を行うことで理解を深める。 |
板書 /Writing on the Board
スライド（パワーポイント等）の使用 /Slides (PowerPoint, etc.)
上記以外の視聴覚教材の使用 /Audiovisual Materials Other than Those Listed Above
個人発表 /Individual Presentations
グループ発表 /Group Presentations
ディスカッション・ディベート /Discussion/Debate
実技・実習・実験 /Practicum/Experiments/Practical Training
学内の教室外施設の利用 /Use of On-Campus Facilities Outside the Classroom
校外実習・フィールドワーク /Field Work
上記いずれも用いない予定 /None of the above
第二量子化を含む量子力学、統計物理学など学部で習う物理学の基礎的な事項、その前提となる線型代数等の物理数学の事項を復習しておくこと。
| 種類 (Kind) | 割合 (%) | 基準 (Criteria) |
|---|---|---|
| 平常点 (In-class Points) | 100 |
講義内で行う口頭試問(30%) 講義内で出題するレポート(30%) 最終レポート(Final Report)(40%) |
| 備考 (Notes) | ||
| その他 (Others) | |||||
|---|---|---|---|---|---|
| プリント配付等によりテキストを使用しない。 |
| No | 著者名 (Author/Editor) | 書籍名 (Title) | 出版社 (Publisher) | 出版年 (Date) | ISBN/ISSN |
|---|---|---|---|---|---|
| 1 | 木村太郎 | 『ランダム行列の数理』 | 森北出版 | 2021 | 9784627063013 |
| 2 | 西垣真祐 | 『ランダム行列とゲージ理論【電子版】 〈普遍性〉を通して捉える量子物理』 | サイエンス社 | 2024 |
SYK模型の数値シミュレーションについては、PCの持参を要望する。必要な準備については、前の授業日までに指示する（有償のソフトウェアのインストールは必要としない）。
https://cond.scphys.kyoto-u.ac.jp/~tezuka/