日本語 English
開講年度/ Academic YearAcademic Year |
20242024 |
科目設置学部/ CollegeCollege |
全学共通科目・全学共通カリキュラム(総合系)/University-wide Liberal Arts Courses (Comprehensive Courses)University-wide Liberal Arts Courses (Comprehensive Courses) |
科目コード等/ Course CodeCourse Code |
FA111/FA111FA111 |
テーマ・サブタイトル等/ Theme・SubtitleTheme・Subtitle |
世界の複雑さを受け止めながら明晰に考える |
授業形態/ Class FormatClass Format |
対面(全回対面)/Face to face (all classes are face-to-face)Face to face (all classes are face-to-face) |
授業形態(補足事項)/ Class Format (Supplementary Items)Class Format (Supplementary Items) |
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授業形式/ Class StyleCampus |
講義/LectureLecture |
校地/ CampusCampus |
池袋/IkebukuroIkebukuro |
学期/ SemesterSemester |
秋学期/Fall semesterFall semester |
曜日時限・教室/ DayPeriod・RoomDayPeriod・Room |
火4/Tue.4 Tue.4 ログインして教室を表示する(Log in to view the classrooms.) |
単位/ CreditsCredits |
22 |
科目ナンバリング/ Course NumberCourse Number |
CMP2100 |
使用言語/ LanguageLanguage |
日本語/JapaneseJapanese |
履修登録方法/ Class Registration MethodClass Registration Method |
抽選他/Exceptional Lottery RegistrationExceptional Lottery Registration |
配当年次/ Assigned YearAssigned Year |
配当年次は開講学部のR Guideに掲載している科目表で確認してください。配当年次は開講学部のR Guideに掲載している科目表で確認してください。 |
先修規定/ Prerequisite RegulationsPrerequisite Regulations |
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他学部履修可否/ Acceptance of Other CollegesAcceptance of Other Colleges |
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履修中止可否/ Course CancellationCourse Cancellation |
〇(履修中止可/ Eligible for cancellation) |
オンライン授業60単位制限対象科目/ Online Classes Subject to 60-Credit Upper LimitOnline Classes Subject to 60-Credit Upper Limit |
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学位授与方針との関連/ Relationship with Degree PolicyRelationship with Degree Policy |
各授業科目は、学部・研究科の定める学位授与方針(DP)や教育課程編成の方針(CP)に基づき、カリキュラム上に配置されています。詳細はカリキュラム・マップで確認することができます。 |
備考/ NotesNotes |
The course objective is to enhance the student's understanding of contemporary issues in philosophy, especially those that may arise in relation to bad language, discrimination and sensitive conversation, for example during the student's participation in classes, writing academic essays, and communication with friends and teachers. The course objective is also to provide the students with extended possibilities to develop an analytic-philosophical and ethical approach to advanced work within theories of justice, ethics of care, analytic feminism and Wittgenstein's philosophy.
After a completed course, the student is expected to be able to:
- explain contemporary issues and theories in applied philosophy
- identify situations of structural injustice to discuss theories of justice, ethics of care, and analytic feminism
- analyze the basic conception of Wittgenstein's philosophy
This course attempts to formulate philosophical questions from real-life experiences and provide answers in order to develop critical thinking skills that fundamentally consider the “plausibility” and “self-evidentness” of things. Starting with issues of reality, such as conflicts with others over language and the individual oppressed by systems and institutions, we will learn how to take issues from Wittgenstein's philosophy, and acquire methods for analysing the state of knowledge that is considered plausible in society.
The course contains the following central themes, modern theories and contemporary issues of philosophy:
- Philosophy of language
- Philosophy of bad language
- Philosophy of discrimination
- Philosophy of conversation
- Ordinary language philosophy
- P. Grice's philosophy
- Political philosophy
- Western theories of justice
- J. Rawls's philosophy
- Ethics of care
- Analytic feminism
The course also contains the following central topics in Wittgenstein's philosophy:
- The conception of “no sense, lacking sense, without sense” and “nonsense” in Tractatus Logico-Philosophicus (=The early Wittgenstein)
- “The Augustinian picture” in Philosophical Investigations (= The later Wittgenstein)
1 | イントロダクション:応用哲学から古典へ 授業の構成について、ディスカッションⅠ・Ⅱ・Ⅲの区分に応じて説明します。また、授業内のルールや、安心して議論ができる「セーファー・スペース」についても案内を行います。 予習:知っている・聞いたことがある哲学者の名前や、気になる哲学的トピックをメモしておきましょう。 復習:シラバスの中から気になるトピックを見つけ、授業内で案内されたデータベースやWebサイトで、用語や参考文献を検索してみましょう。 |
2 | アクチュアルな問い①:悪い言葉の哲学 ある言葉が「悪い」と言われるとき、そもそもどのようにして「言葉」が悪さをなすことができるのか、言葉を使って人が悪いことをすることができるのかについて考えます。 予習:身近な悪口の例を挙げてみましょう。(自身の経験を無理に思い起こす必要はありません。また、授業内では、フラッシュバックを引き起こしそうな生々しい例は極力避け、もしそのような例を使う必要がある場合は、先に注意喚起を行います。) 復習:予習で考えてきた身近な悪口の例を、「害悪説」「悪意説」「ランクづけ説」のいずれかで説明してみましょう。(説明できない場合はその理由を述べ、別の理屈を考えてみましょう。) |
3 | アクチュアルな問い②:差別の哲学 ある人が特定の属性(人種・ジェンダー・性的指向・障害の有無・宗教・年齢)によって他の人と異なる対応を受けるとき、それが単なる「区別」ではなく「差別」と呼ばれるのはどのような理由からなのかについて考えます。また、差別の「悪さ」についても、四つの説から検討します。 予習:身近な差別の例を挙げてみましょう。(自身の経験を無理に思い起こす必要はありません。また、授業内では、アウティングが生じないよう配慮し、フラッシュバックを引き起こしそうな生々しい例は極力避け、もしそのような例を使う必要がある場合は、先に注意喚起を行います。) 復習:予習で考えてきた身近な差別の例について、それがなぜ悪いのかを、「心理状態説」「害説」「自由侵害説」「社会的意味説」のいずれかで説明してみましょう。(説明できない場合はその理由を述べ、別の理屈を考えてみましょう。) |
4 | アクチュアルな問い③:会話の哲学 言葉を使って人とやりとりするとき、そこで私たちは人と何を一緒に行おうとするのか(し損ねるのか)、あるいは、人に対して何を行わせようとするのかを考えます。 予習:会話がうまくいったり、うまくいかなかったりした例を挙げてみましょう。また、伝わってほしいことが伝わらなかったり、伝わってほしくないことが伝わってしまったりした例も考えてみましょう。 復習:予習で考えてきた例が、発言を通じて話し手と聞き手の間で約束事を構築していく「コミュニケーション」であるのか、発言を通じて話し手が聞き手の心理や行動を探ろうとする「マニピュレーション」であるのか考え、理由とともに述べましょう。(どちらでもないと思われた場合は、その理由を述べ、別の説明を考えてみましょう。) |
5 | ディスカッションⅠ:他者を尊重することはなぜ難しいのか 発表希望者(3名まで)を募り、発表者と他の受講者との間でディスカッションを行います。 他者との関わりのなかで生じてくる「悪さ」について、「悪い言葉の哲学」「差別の哲学」「会話の哲学」の三つの観点から皆で議論します。とくに、「他者を尊重することはなぜ難しいのか」という問いを立て、この問いにどのような仕方で答えることができそうかを話し合いましょう。 予習:第2回から第4回までの授業内容を復習し、ディスカッションに備えましょう。 復習:ディスカッションで得たことを踏まえ、「他者を尊重することはなぜ難しいのか」という問いに自分なりに答えてみましょう。 |
6 | 良い生を考える①:正義の哲学 どのような社会が、公平で良い社会であると言えるかについて、ロールズの『正義論』から学びます。特に、ロールズの正義の二原理(平等な基本的諸自由をめぐる「第一原理」や、格差原理と公正な機会均等の原理をめぐる「第二原理」)と、正義の二原理の導出方法(原初状態における「無知のヴェール」)について考えます。 予習:個人の努力ではどうにもならないと思われる身近な例を考えましょう。 復習:予習で考えてきた例を使って、「良い」社会ではどのように、個人の努力ではどうにもならないと思われることが取り扱われるべきか、そのために実行可能と思われる手段は何か、考えてみましょう。 |
7 | 良い生を考える②:ケアの倫理 これまで社会の中で強い発言権を持ってきた主体がどのような条件を備えていると前提されてきたのか、発言権を持たないとされがちだった人たちがどのような存在であるのかについて、「脆弱性」や「依存」といったキーワードを使って考えます。 予習:「社会の一員」ということであなたが思い浮かべるのはどんな主体か、考えてみましょう。 復習:第6回の授業内容を踏まえ、正義の哲学において前提とされる「主体」と、ケアの倫理において考えられる「個人」との違いについて考えてみましょう。 |
8 | 良い生を考える③:分析フェミニズム 「女性」をはじめとするマイノリティの権利を擁護する営みであるフェミニズムが、何らかの弱い属性を被る人の立場を向上させるため、個々の生を抑圧するさまざまな機構(社会的構築物)のありようを暴露する活動でもあることを考えます。特に、フェミニズムに対する「分析哲学」からのアプローチを取り上げます。 予習:個人の生が規格化を被る(既存のあり方に合わせるよう強制ないし矯正が生じる)場面について、考えてみましょう。 復習:予習で考えてきた例について、「分析哲学的アプローチ」を使って検討してみましょう。(検討しにくい場合はその理由を述べ、別のアプローチを考えてみましょう。) |
9 | ディスカッションⅡ:自分らしく生きるとは何とどのように戦うことなのか 発表希望者(3名まで)を募り、発表者と他の受講者との間でディスカッションを行います。 集団内での慣習・制度において生きる個人が被る不利益について、「正義の哲学」「ケアの倫理」「分析フェミニズム」の三つの観点から皆で議論します。とくに、「自分らしく生きるとは何とどのように戦うことなのか」という問いを立て、この問いにどのような仕方で答えることができそうかを話し合いましょう。 予習:第6回から第8回までの授業内容を復習し、ディスカッションに備えましょう。 復習:ディスカッションで得たことを踏まえ、「自分らしく生きるとは何とどのように戦うことなのか」という問いに自分なりに答えてみましょう。 |
10 | 古典にふれる①:ウィトゲンシュタインという哲学者 19-20世紀を代表する哲学者で、オーストリア・ウィーン出身のL. ウィトゲンシュタイン(1889-1951)について、その生涯を学びます。 予習:「ウィトゲンシュタイン」という人について、データベース等で調べてみましょう。 復習:ウィトゲンシュタインがどのような哲学者か、生い立ち、他の哲学者との影響関係、思想、遺稿について得た情報から考察しましょう。 |
11 | 古典にふれる②:『論理哲学論考』——前期ウィトゲンシュタインを知ろう 難解かつミステリアスなことで知られるウィトゲンシュタインの著作『論理哲学論考』のエッセンスに触れます。 予習:『論理哲学論考』(またはその入門書)を図書館で見てみましょう。 復習:『論理哲学論考』における、「無意味」と「ナンセンス」との違いについて考えてみましょう。 |
12 | 古典にふれる③:『哲学探究』——後期ウィトゲンシュタインを知ろう 一度は哲学(界)から離れたウィトゲンシュタインが再び哲学を開始し、ウィーン学団や、ケンブリッジの同僚・学生とのやりとりの中から生み出した新しい作品『哲学探究』の導入箇所を読みます。 予習:『哲学探究』(またはその入門書)を図書館で見てみましょう。 復習:『哲学探究』における「アウグスティヌス言語像」を分析してみましょう。 |
13 | ディスカッションⅢ:私たちが何かの意味を問う際に必要としていること 発表希望者(3名まで)を募り、発表者と他の受講者との間でディスカッションを行います。 言葉の意味および、言葉の意味を問題にするときにとる手法・前提・道具立てについて考え、私たちが何かを語るときに問題になること(あるいは、問題にせずに済ませてきたこと)は何であるかを議論しましょう。(題材は、ウィトゲンシュタイン以外でも構いません。) 予習:第10回から第12回までの授業内容を復習し、ディスカッションに備えましょう。 復習:ディスカッションで得たことを踏まえ、「私たちが何かの意味を問う際に必要としていること」という問いに自分なりに答えてみましょう。 |
14 | まとめ これまでの授業を振り返り、三つの問い「他者を尊重することはなぜ難しいのか」「自分らしく生きるとは何とどのように戦うことなのか」「私たちが何かの意味を問う際に必要としていること」を参考に、それぞれが問いを立てます。 予習:ディスカッションⅠからⅢの復習を行いましょう。 復習:自身の問いに適した参考文献を選び、その文献を読みながら気になる点についてノート等に書き出し、問いと解答を与えるプロセスを自分で形成してみましょう。 |
板書 /Writing on the Board
スライド(パワーポイント等)の使用 /Slides (PowerPoint, etc.)
上記以外の視聴覚教材の使用 /Audiovisual Materials Other than Those Listed Above
個人発表 /Individual Presentations
グループ発表 /Group Presentations
ディスカッション・ディベート /Discussion/Debate
実技・実習・実験 /Practicum/Experiments/Practical Training
学内の教室外施設の利用 /Use of On-Campus Facilities Outside the Classroom
校外実習・フィールドワーク /Field Work
上記いずれも用いない予定 /None of the above
補足事項 (Supplementary Items) |
---|
ディスカッション回では、有志の発表者を募り、個人発表してもらう予定です。発表者は、成績評価を受ける上でアドバンテージが得られます。 |
各回の授業計画を参照のこと。
種類 (Kind) | 割合 (%) | 基準 (Criteria) |
---|---|---|
平常点 (In-class Points) | 100 |
最終レポート(Final Report)(40%) 小レポート(30%) コメントシート(30%) |
備考 (Notes) | ||
その他 (Others) | |||||
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指定なし。適宜、スライドを配布します。 |
No | 著者名 (Author/Editor) | 書籍名 (Title) | 出版社 (Publisher) | 出版年 (Date) | ISBN/ISSN |
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1 | 和泉悠 | 『悪い言語哲学入門』 | 筑摩書房 | 2022 | 4480074554 |
2 | 池田喬、堀田義太郎 | 『差別の哲学入門』 | アルパカ | 2021 | 4910024026 |
3 | 三木那由他 | 『会話を哲学する:コミュニケーションとマニピュレーション』 | 光文社 | 2022 | 4334046223 |
4 | 齋藤純一・田中将一 | 『ジョン・ロールズ』 | 中央公論新社 | 2021 | 4121026748 |
5 | キャロル・ギリガン | 『もうひとつの声で──心理学の理論とケアの倫理』 | 風行社 | 2022 | 4938662388 |
6 | 木下頌子、渡辺一暁、飯塚理恵、小草泰編訳 | 『分析フェミニズム基本論文集』 | 慶應義塾大学出版会 | 2022 | 4766428552 |
7 | レイ・モンク | 『ウィトゲンシュタイン〈1〉―天才の責務』 | みすず書房 | 1994 | 9784622031857 |
その他 (Others) | |||||
ルートウィヒ・ウィトゲンシュタイン(2003)『論理哲学論考』、野矢茂樹訳、岩波書店。4003368916 ——(2020)『哲学探究』、鬼界彰夫訳、講談社。4062199440 |
授業中の携帯電話の使用は禁止しますので、その他の端末(PCやタブレットなど)を持参してください。
・このコースでは積極的な学習姿勢を求めます。楽に単位を取りたい方にはおすすめできません。私語、理由のない遅刻・早退、授業中のスマートフォン操作や内職などは基本的に認められませんのでご注意ください。悪質な態度があった場合は、退出を命じることがあります。
・教員は、授業内でのアウティングおよびミスジェンダリング予防に努めます。また、学生にも同様の努力を要請します。
2016年度以降1年次入学者対象科目
多彩な学び
このコースの目的は、哲学の現代的な問題、とくに悪い言葉、差別、注意を要する会話に関連して——例えば学生の授業参加、レポート作成、また教員や友人との会話において——発生する可能性のある問題について、学生の理解を深めることです。このコースの目的はまた、正義論、ケアの倫理、分析フェミニズム、ウィトゲンシュタイン哲学の中で、分析哲学的・倫理学的アプローチを発展させ、高度な研究を行う可能性を学生に提供することです。
コース終了後、学生は以下のことができるようになることが期待されます。
- 応用哲学における現代的な争点や理論を説明することができる。
- 正義の理論、ケアの倫理、分析フェミニズムを議論するため、構造的不正義の状況を認識することができる。
- ウィトゲンシュタイン哲学の基礎的な考えを分析することができる。
The course objective is to enhance the student's understanding of contemporary issues in philosophy, especially those that may arise in relation to bad language, discrimination and sensitive conversation, for example during the student's participation in classes, writing academic essays, and communication with friends and teachers. The course objective is also to provide the students with extended possibilities to develop an analytic-philosophical and ethical approach to advanced work within theories of justice, ethics of care, analytic feminism and Wittgenstein's philosophy.
After a completed course, the student is expected to be able to:
- explain contemporary issues and theories in applied philosophy
- identify situations of structural injustice to discuss theories of justice, ethics of care, and analytic feminism
- analyze the basic conception of Wittgenstein's philosophy
このコースでは、ものごとの「もっともらしさ」「自明性」を根源的に考える批判的思考力を身につけるため、実生活における経験から哲学的問いを立て、解答を形成することを試みます。「言葉」をめぐって生じる「他者」との軋轢や、「制度」の中で抑圧される「個人」といったアクチュアリティのある問題設定からスタートし、ウィトゲンシュタインの哲学から問題の汲み取り方を学ぶことで、社会においてもっともらしいと考えられている知識のありようを分析する手法を身につけていきましょう。
具体的には、以下のような哲学の中心的テーマ、現代理論、現代的課題を取り上げます。
- 言語の哲学
- 悪い言葉の哲学
- 差別の哲学
- 会話の哲学
- 日常言語の哲学
- P・グライスの哲学
- 政治哲学
- 正義の理論
- J・ロールズの哲学
- ケアの倫理
- 分析フェミニズム
また、ウィトゲンシュタイン哲学の中心的なトピックとして、以下のものを取り上げます。
- 『論理哲学論考』(=前期ウィトゲンシュタイン)における「無意味sinnlos」と「ナンセンスUnsinn, unsinnig」
- 『哲学探究』(=後期ウィトゲンシュタイン)における「アウグスティヌス的像」
This course attempts to formulate philosophical questions from real-life experiences and provide answers in order to develop critical thinking skills that fundamentally consider the “plausibility” and “self-evidentness” of things. Starting with issues of reality, such as conflicts with others over language and the individual oppressed by systems and institutions, we will learn how to take issues from Wittgenstein's philosophy, and acquire methods for analysing the state of knowledge that is considered plausible in society.
The course contains the following central themes, modern theories and contemporary issues of philosophy:
- Philosophy of language
- Philosophy of bad language
- Philosophy of discrimination
- Philosophy of conversation
- Ordinary language philosophy
- P. Grice's philosophy
- Political philosophy
- Western theories of justice
- J. Rawls's philosophy
- Ethics of care
- Analytic feminism
The course also contains the following central topics in Wittgenstein's philosophy:
- The conception of “no sense, lacking sense, without sense” and “nonsense” in Tractatus Logico-Philosophicus (=The early Wittgenstein)
- “The Augustinian picture” in Philosophical Investigations (= The later Wittgenstein)
1 | イントロダクション:応用哲学から古典へ 授業の構成について、ディスカッションⅠ・Ⅱ・Ⅲの区分に応じて説明します。また、授業内のルールや、安心して議論ができる「セーファー・スペース」についても案内を行います。 予習:知っている・聞いたことがある哲学者の名前や、気になる哲学的トピックをメモしておきましょう。 復習:シラバスの中から気になるトピックを見つけ、授業内で案内されたデータベースやWebサイトで、用語や参考文献を検索してみましょう。 |
2 | アクチュアルな問い①:悪い言葉の哲学 ある言葉が「悪い」と言われるとき、そもそもどのようにして「言葉」が悪さをなすことができるのか、言葉を使って人が悪いことをすることができるのかについて考えます。 予習:身近な悪口の例を挙げてみましょう。(自身の経験を無理に思い起こす必要はありません。また、授業内では、フラッシュバックを引き起こしそうな生々しい例は極力避け、もしそのような例を使う必要がある場合は、先に注意喚起を行います。) 復習:予習で考えてきた身近な悪口の例を、「害悪説」「悪意説」「ランクづけ説」のいずれかで説明してみましょう。(説明できない場合はその理由を述べ、別の理屈を考えてみましょう。) |
3 | アクチュアルな問い②:差別の哲学 ある人が特定の属性(人種・ジェンダー・性的指向・障害の有無・宗教・年齢)によって他の人と異なる対応を受けるとき、それが単なる「区別」ではなく「差別」と呼ばれるのはどのような理由からなのかについて考えます。また、差別の「悪さ」についても、四つの説から検討します。 予習:身近な差別の例を挙げてみましょう。(自身の経験を無理に思い起こす必要はありません。また、授業内では、アウティングが生じないよう配慮し、フラッシュバックを引き起こしそうな生々しい例は極力避け、もしそのような例を使う必要がある場合は、先に注意喚起を行います。) 復習:予習で考えてきた身近な差別の例について、それがなぜ悪いのかを、「心理状態説」「害説」「自由侵害説」「社会的意味説」のいずれかで説明してみましょう。(説明できない場合はその理由を述べ、別の理屈を考えてみましょう。) |
4 | アクチュアルな問い③:会話の哲学 言葉を使って人とやりとりするとき、そこで私たちは人と何を一緒に行おうとするのか(し損ねるのか)、あるいは、人に対して何を行わせようとするのかを考えます。 予習:会話がうまくいったり、うまくいかなかったりした例を挙げてみましょう。また、伝わってほしいことが伝わらなかったり、伝わってほしくないことが伝わってしまったりした例も考えてみましょう。 復習:予習で考えてきた例が、発言を通じて話し手と聞き手の間で約束事を構築していく「コミュニケーション」であるのか、発言を通じて話し手が聞き手の心理や行動を探ろうとする「マニピュレーション」であるのか考え、理由とともに述べましょう。(どちらでもないと思われた場合は、その理由を述べ、別の説明を考えてみましょう。) |
5 | ディスカッションⅠ:他者を尊重することはなぜ難しいのか 発表希望者(3名まで)を募り、発表者と他の受講者との間でディスカッションを行います。 他者との関わりのなかで生じてくる「悪さ」について、「悪い言葉の哲学」「差別の哲学」「会話の哲学」の三つの観点から皆で議論します。とくに、「他者を尊重することはなぜ難しいのか」という問いを立て、この問いにどのような仕方で答えることができそうかを話し合いましょう。 予習:第2回から第4回までの授業内容を復習し、ディスカッションに備えましょう。 復習:ディスカッションで得たことを踏まえ、「他者を尊重することはなぜ難しいのか」という問いに自分なりに答えてみましょう。 |
6 | 良い生を考える①:正義の哲学 どのような社会が、公平で良い社会であると言えるかについて、ロールズの『正義論』から学びます。特に、ロールズの正義の二原理(平等な基本的諸自由をめぐる「第一原理」や、格差原理と公正な機会均等の原理をめぐる「第二原理」)と、正義の二原理の導出方法(原初状態における「無知のヴェール」)について考えます。 予習:個人の努力ではどうにもならないと思われる身近な例を考えましょう。 復習:予習で考えてきた例を使って、「良い」社会ではどのように、個人の努力ではどうにもならないと思われることが取り扱われるべきか、そのために実行可能と思われる手段は何か、考えてみましょう。 |
7 | 良い生を考える②:ケアの倫理 これまで社会の中で強い発言権を持ってきた主体がどのような条件を備えていると前提されてきたのか、発言権を持たないとされがちだった人たちがどのような存在であるのかについて、「脆弱性」や「依存」といったキーワードを使って考えます。 予習:「社会の一員」ということであなたが思い浮かべるのはどんな主体か、考えてみましょう。 復習:第6回の授業内容を踏まえ、正義の哲学において前提とされる「主体」と、ケアの倫理において考えられる「個人」との違いについて考えてみましょう。 |
8 | 良い生を考える③:分析フェミニズム 「女性」をはじめとするマイノリティの権利を擁護する営みであるフェミニズムが、何らかの弱い属性を被る人の立場を向上させるため、個々の生を抑圧するさまざまな機構(社会的構築物)のありようを暴露する活動でもあることを考えます。特に、フェミニズムに対する「分析哲学」からのアプローチを取り上げます。 予習:個人の生が規格化を被る(既存のあり方に合わせるよう強制ないし矯正が生じる)場面について、考えてみましょう。 復習:予習で考えてきた例について、「分析哲学的アプローチ」を使って検討してみましょう。(検討しにくい場合はその理由を述べ、別のアプローチを考えてみましょう。) |
9 | ディスカッションⅡ:自分らしく生きるとは何とどのように戦うことなのか 発表希望者(3名まで)を募り、発表者と他の受講者との間でディスカッションを行います。 集団内での慣習・制度において生きる個人が被る不利益について、「正義の哲学」「ケアの倫理」「分析フェミニズム」の三つの観点から皆で議論します。とくに、「自分らしく生きるとは何とどのように戦うことなのか」という問いを立て、この問いにどのような仕方で答えることができそうかを話し合いましょう。 予習:第6回から第8回までの授業内容を復習し、ディスカッションに備えましょう。 復習:ディスカッションで得たことを踏まえ、「自分らしく生きるとは何とどのように戦うことなのか」という問いに自分なりに答えてみましょう。 |
10 | 古典にふれる①:ウィトゲンシュタインという哲学者 19-20世紀を代表する哲学者で、オーストリア・ウィーン出身のL. ウィトゲンシュタイン(1889-1951)について、その生涯を学びます。 予習:「ウィトゲンシュタイン」という人について、データベース等で調べてみましょう。 復習:ウィトゲンシュタインがどのような哲学者か、生い立ち、他の哲学者との影響関係、思想、遺稿について得た情報から考察しましょう。 |
11 | 古典にふれる②:『論理哲学論考』——前期ウィトゲンシュタインを知ろう 難解かつミステリアスなことで知られるウィトゲンシュタインの著作『論理哲学論考』のエッセンスに触れます。 予習:『論理哲学論考』(またはその入門書)を図書館で見てみましょう。 復習:『論理哲学論考』における、「無意味」と「ナンセンス」との違いについて考えてみましょう。 |
12 | 古典にふれる③:『哲学探究』——後期ウィトゲンシュタインを知ろう 一度は哲学(界)から離れたウィトゲンシュタインが再び哲学を開始し、ウィーン学団や、ケンブリッジの同僚・学生とのやりとりの中から生み出した新しい作品『哲学探究』の導入箇所を読みます。 予習:『哲学探究』(またはその入門書)を図書館で見てみましょう。 復習:『哲学探究』における「アウグスティヌス言語像」を分析してみましょう。 |
13 | ディスカッションⅢ:私たちが何かの意味を問う際に必要としていること 発表希望者(3名まで)を募り、発表者と他の受講者との間でディスカッションを行います。 言葉の意味および、言葉の意味を問題にするときにとる手法・前提・道具立てについて考え、私たちが何かを語るときに問題になること(あるいは、問題にせずに済ませてきたこと)は何であるかを議論しましょう。(題材は、ウィトゲンシュタイン以外でも構いません。) 予習:第10回から第12回までの授業内容を復習し、ディスカッションに備えましょう。 復習:ディスカッションで得たことを踏まえ、「私たちが何かの意味を問う際に必要としていること」という問いに自分なりに答えてみましょう。 |
14 | まとめ これまでの授業を振り返り、三つの問い「他者を尊重することはなぜ難しいのか」「自分らしく生きるとは何とどのように戦うことなのか」「私たちが何かの意味を問う際に必要としていること」を参考に、それぞれが問いを立てます。 予習:ディスカッションⅠからⅢの復習を行いましょう。 復習:自身の問いに適した参考文献を選び、その文献を読みながら気になる点についてノート等に書き出し、問いと解答を与えるプロセスを自分で形成してみましょう。 |
板書 /Writing on the Board
スライド(パワーポイント等)の使用 /Slides (PowerPoint, etc.)
上記以外の視聴覚教材の使用 /Audiovisual Materials Other than Those Listed Above
個人発表 /Individual Presentations
グループ発表 /Group Presentations
ディスカッション・ディベート /Discussion/Debate
実技・実習・実験 /Practicum/Experiments/Practical Training
学内の教室外施設の利用 /Use of On-Campus Facilities Outside the Classroom
校外実習・フィールドワーク /Field Work
上記いずれも用いない予定 /None of the above
補足事項 (Supplementary Items) |
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ディスカッション回では、有志の発表者を募り、個人発表してもらう予定です。発表者は、成績評価を受ける上でアドバンテージが得られます。 |
各回の授業計画を参照のこと。
種類 (Kind) | 割合 (%) | 基準 (Criteria) |
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平常点 (In-class Points) | 100 |
最終レポート(Final Report)(40%) 小レポート(30%) コメントシート(30%) |
備考 (Notes) | ||
その他 (Others) | |||||
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指定なし。適宜、スライドを配布します。 |
No | 著者名 (Author/Editor) | 書籍名 (Title) | 出版社 (Publisher) | 出版年 (Date) | ISBN/ISSN |
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1 | 和泉悠 | 『悪い言語哲学入門』 | 筑摩書房 | 2022 | 4480074554 |
2 | 池田喬、堀田義太郎 | 『差別の哲学入門』 | アルパカ | 2021 | 4910024026 |
3 | 三木那由他 | 『会話を哲学する:コミュニケーションとマニピュレーション』 | 光文社 | 2022 | 4334046223 |
4 | 齋藤純一・田中将一 | 『ジョン・ロールズ』 | 中央公論新社 | 2021 | 4121026748 |
5 | キャロル・ギリガン | 『もうひとつの声で──心理学の理論とケアの倫理』 | 風行社 | 2022 | 4938662388 |
6 | 木下頌子、渡辺一暁、飯塚理恵、小草泰編訳 | 『分析フェミニズム基本論文集』 | 慶應義塾大学出版会 | 2022 | 4766428552 |
7 | レイ・モンク | 『ウィトゲンシュタイン〈1〉―天才の責務』 | みすず書房 | 1994 | 9784622031857 |
その他 (Others) | |||||
ルートウィヒ・ウィトゲンシュタイン(2003)『論理哲学論考』、野矢茂樹訳、岩波書店。4003368916 ——(2020)『哲学探究』、鬼界彰夫訳、講談社。4062199440 |
授業中の携帯電話の使用は禁止しますので、その他の端末(PCやタブレットなど)を持参してください。
・このコースでは積極的な学習姿勢を求めます。楽に単位を取りたい方にはおすすめできません。私語、理由のない遅刻・早退、授業中のスマートフォン操作や内職などは基本的に認められませんのでご注意ください。悪質な態度があった場合は、退出を命じることがあります。
・教員は、授業内でのアウティングおよびミスジェンダリング予防に努めます。また、学生にも同様の努力を要請します。
2016年度以降1年次入学者対象科目
多彩な学び